★2分で読める「生成AIのいま」 Vol.1

~「学習」と「推論」- "詰め込み"から"よく考えさせる"へ。"o1"が示唆するAIの進化 ~


OpenAIが発表した最新モデル「OpenAI o1」。

ChatGPT-o1 previewとして使えるようになってしばらく経ちました。

とあるテストでは、人間の中でも上位5%(20人に1人程度の秀才)に相当するIQ 120を記録したとか。

ソース: https://trackingai.org/IQ

※GPT-4oはじめ、最近の他のAIは軒並み80~100程度であり、これは人間の平均IQである100に近いレベルです。


OpenAI o1とは何者なのか、そしてなぜ、このような急激な進化を遂げたのか。

まだ全貌は明らかになっていませんが、、

これを理解するカギは、おそらく「学習」と「推論」にあります。


・AIの「学習」と「スケール則」

AIにインターネットなどからデータや情報をひたすら読み込ませる作業、これを「学習」と呼びます。

これまでGPT等の生成AIは、この「学習量」を増やすことで、その性能をどんどん向上させてきました。これを「スケール則」と呼びます。

しかしここにきてスケール則が早くも限界に。どんなにデータや計算能力を増やしても、それだけでAIがもっと賢くなるわけではないことがわかってきました。

特に「知識の詰め込み」による単なるパターンの認識だけでは、人間のような「複雑な問題を対応する」ことには限界があります。

・「学習」から「推論」へ - OpenAIがとった進路変更

そこで、OpenAIは新しい方向に進みました。それが「推論」です。

※これまでの生成AIとOpenAI o1の違い示した図。 

”Training”が「学習」、"Inference"が学習です。
下段のイチゴがOpenAI o1に相当します。これまでのモデルに比べて、「推論」に重点が置かれていることがお分かりいただけると思います。
※OpenAI o1のコードネームが”Strawberry”だったため、この図では”o1”がイチゴとして描かれています。
出典元: https://x.com/DrJimFan/status/1834279865933332752

推論能力とは、学習した知識を基に「よく考える」こと。

単なる情報の詰め込みではなく、その情報をどう使うか、どう解釈するかを重視するのです。

これまで「学習」に投下してきた開発資源を「推論」にそそぐことになり、

たとえば

「勉強に苦しんでいた学生が、知識を詰め込むだけでなく、ホワイトボードに書きながらじっくり考えることで、行き詰まりを突破した」

というようなブレークスルーが起きつつあるわけです。

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~第52回日本磁気共鳴医学会大会(JSMRM 2024)にシンポジストとして参加しました。~